演劇ユニットG.com

はさみ

そう言えば、小学校のころ、どんなはさみを使っていたか、いまだに覚えているのだった。青いビニールが持ち手のところに巻いてあるやつだ。そのビニールの暗くてちょっと光った色調や、少し黄色がかった金属部分の感じなども覚えている。小学校のころのはさみのことなんかまず思い出さない。少なくとも20年ぶりかそれ以上久しぶりに考えたのに、やはりちゃんと覚えているのだった。

 

はさみに限ったことではないが、モノを買うというのは結構大変なことだった。こうしたものは、薄暗い文房具屋の隅に、紙のケースに入れて置いてあった。値段もそれなりにして、子どもにしてみれば、おいそれと手が出せない。だからこそ、一度買うとまず、名前を書いたシールなどを貼って、半永久的に付き合うつもりで使ったものである。まあ、そんな「つもり」も、ちゃんと意識していたわけじゃなくて、今から思うと、ということだ。

 

今、はさみを少なくとも3つ持っている。必要ならもっともっと、いくらでも買える。百円ショップにもあるだろうし、もっと高いのだって、買おうと思えばすぐ買えるのだった。自分が大人になったからというだけじゃないし、百円ショップが出来たからというだけじゃない。人と物の付き合い方の中に、やはり何か本質的に変わったものがある。おそらくは80年代にひっそりと進行した変化。何でもお金で取替えが利くようになった。「何でも」というのはもちろん、人間も含めてだ。

 

家の片隅に置いてあったモノたちのことを思う。名前が書いてあって、少し薄汚れていたモノたちのことを。(友田)

取材ノート

いまこうして見ていただいている方には申し訳ないけど、文芸部日誌なんか読む必要ないと思いますね。ごみですよ。稽古場日誌をこそ見るべきです。なかなか充実した内容になってきています。

 

いろいろやることあって稽古場を離れている友田です。だから、今から書くことも暇つぶしの類で、くだらないです。読んでから怒ってもしらないよ。

 

ノートが好きでして。海外でもノートを買いあさり、ふだんも結構いいの使ってます。それでもいつも新しいのを買いたくてたまらない。今度、ちょっと気合の入った取材をします。それで「ノート、ノート、新しいノート」と、資料の読み込みなどそっちのけで渋谷の伊東屋へ行きました。

 

今回、取材の対象はなかなかの大物。虚飾なぞ通用しない相手です。ふだんのノートは、面白いけどその分「ちゃらちゃら」感も。なめられちゃいけない。やはり、本格派、質実剛健なノートで、取材相手を「おっ」とのけぞらせたい。

 

そこで手に取ったのは、「ツバメ中性紙フールス」。灰色の表紙に黒字のブロック体で「NOTEBOOK」と。シンプルこの上ありません。そう、まさにノートってこんなものじゃないか?ノートのイデアのようなその表紙をめくると、見返しにこのノートの紙がいかに素晴らしいものか、るる説明してあります。

 

いわく「一万年以上永久保存が利く中性紙フールスです」。「無意味だ」と突っ込むことすら無意味だ。

 

今から一万年前と言えばメソポタミアにインドからシュメール人が移住してきて、世界で始めて農耕が始まった頃。文字なんてものもないし、当時の記録など、どこを探してもありません。それほどの時を超えて私の書くものを残すと豪語するこのノート。励まされるばかりか、かえって自分の存在の小ささを思い知らされるような感じすらします。

 

そんなわけで、取材ノートは「ツバメ中性紙フールス」で決まりだ!!

棄権

そう言えば都議選は棄権してしまった。朝ごろ、「ああ、今日は都議選だ」と気づき、「後で行こう」と思ったが、午後、夕方とずるずる延ばし、夕方ごろには布団を敷いて本格的に昼寝。起きたら、ヒヤッとする夜の空気。

 

そのまま長い散歩に出る。アイディアに煮詰まったときによくやる手だ。書かねばならない原稿の次の展開に迷っていた。あるビルの前に人がたむろして、数人の女性が米つきバッタのように頭を下げている。頭とわたしの身体がぶつかりそうで危ない。何なんだこいつら、と建物を見ると、民主党候補の事務所だった。女性たちの方を振り返ると、嬉しさに涙こぼれんばかりの顔、顔。「ありがとうございました」と言ってる。あ、棄権しちゃった、とその時気がついた。

 

三つ子の魂百まで、ジャーナリストとして二十代を過ごしたから、今でも棄権には罪悪感がある。選挙こそ民主主義の基盤。さあみんな、投票に行こう。権利の行使を怠る国民に、明るい明日はない。その割に、結果を見れば、棄権したことは結構多い。

 

勝ち馬に乗るのが嫌いだ。今回も、勝負はとうに見えていた。自分の一票なんか、どうでもいいんじゃないか。そんな気分。実際、結果を見ると世田谷は圧倒的な民主候補の勝利で。ブームの一員になって嬉しいか。でも、いや、しかし・・・。

 

次回は多分行く。8月30日、衆院選。奇しくもG.com公演の千秋楽である。お手伝いでいろいろ忙しいだろう。でも行く。麻生は嫌いだ。それだけでも行ける。選挙なんてそんなもん(友田)

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