永遠のチェルノブイリ - 演劇ユニットG.com

永遠のチェルノブイリ

先日、ある番組をみた。

BS世界ドキュメンタリー
「永遠のチェルノブイリ」

 

  この番組はチェルノブイリ原発事故から25年たった今年。国際共同制作で撮られたチェルノブイリの現在とチェルノブイリ世代と呼ばれる20~25歳のウクライナの若者たちを追ったドキュメンタリー。

番組としてものすごく優れているとかそういうことではないんですが、現代のロシア、ウクライナの若者たちがチェルノブイリをどう感じているのかっていうところで「ストーカー」というパソコンゲームをやっている少年が出てくるんですが、この「ストーカー」なるゲーム。アンドレイ・タルコフスキー監督の映画化でも知られている、ストルガツキイ兄弟の同名小説「ストーカー」(原題は路傍のピクニック)からインスパイされたゲームで、僕も同兄弟の「ストーカー」が大好きな小説なので前々からその存在はしっておりましたが、このゲームが、ウクライナ国内で馬鹿売れだそうでして・・・。とは知らなかった。

もちろん原作はSF小説です。ある日、通りすがりの異星人が捨てていったゴミが地球に落ちます。これがまあ、人類の科学では全く理解できないものばかりで、場合によっては有益だったり、超危険だったり、完全に無意味だったりするんですが、そのゴミが転がっている場所を「ゾーン」と呼び、全世界で立入禁止区域となってます。しかしそのゴミを拾ってきては売りさばく「ストーカー」なる密猟者がどんどん現れる。しかしゾーンは非常に危険に満ちていて、しかもゾーンに入った人間=ストーカーの子供は何故か異形な猿のようなミュータントしか産まれなくなる。しかし、生活のために繰り替えしゾーンに進入し、ゴミ=お宝を集めてくるストーカー。やがてゾーンの中心地に、どんな願いでもかなえてくれる「なにか」があるらしいといった噂が流れ、ストーカーはゾーンの中心地を目指す。

ってな話です。

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この作品がなにを意図して書かれたかは諸説あるようですが「チェルノブイリ原発事故を予言した作品」などと言われていることもありまして。事実、僕が初めて読んだときは「ああ、これはチェルノブイリを暗喩してる作品なんだなぁ」と思いましたが、よくよく調べてみるとこの小説が書かれたのは事故以前。

そしてゲーム「ストーカー」の内容なんですが、、、

チェルノブイリ原発事故以降、立入禁止となった地域「ゾーン」の中で、事故によって産まれたミュータントを倒しながら石棺に覆われたチェルノブイリ発電所を目指す主人公の名は「ストーカー」。彼は、チェルノブイリ発電所に突如現れた「モノリス」に願いを叶えてもらうため、高濃度の放射線に犯された地区であるゾーンの奥へと入っていく。

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っと、異星人の部分が原発になっているわけです。

そしてこのゲームの大ヒットと共に現在ウクライナの若者たちはチェルノブイリ周辺の放射汚染地域のことを「ゾーン」そしてその中に入って瓦礫の撤去や、放射線の観測などを行う人々のことを「ストーカー」と呼んでいる。「ゾーン」や「ストーカー」はもちろんストルガツキイ兄弟が作った造語であり、そんなものは存在していませんでした。しかし、小説を書いたその後、それを現実がフィクションを取り込み、そして現実でフィクションな言葉が使われる。。。「ゾーン」や「ストーカー」という言葉が現実に、しかもチェルノブイリという場所で使われてしまっているこの事実に、彼らはなにを思うんでしょうか

今年、福島原発という大きな負の遺産を抱えた今の我々。その25年後の姿がこの番組にはあるのかもしれません。次回公演『実験都市』もストルガツキイから多大な影響をうけて書いた作品なので、この番組に出会えたのは非常にラッキーでした。

まだNHKオンデマンドで見れるはずです。210円で。ご興味ある方は是非。

NHKオンデマンド

BS世界のドキュメンタリー シリーズ チェルノブイリ事故 25年
「永遠のチェルノブイリ」

解説者 : 石川一洋

チェルノブイリ原発事故から25年。事故を起こした原発は、いまだに周囲を汚染し続け、根本的な解決にはほど遠く、その処理は今も続いている。しかし甚大な被害を被ったウクライナでさえ、事故は風化しつつある。原子力エネルギーが注目を集める中、ヨーロッパ各地に原発が次々と建てられている現状に警鐘を鳴らす。2011年5月のアンコール。~国際共同制作:Simple Production~

6月3日(金)1:15放送
国際共同制作:Simple Production

http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2011029312SC000/