グエナエル・モラン『ラシーヌの「ベレニス」による「ベレニス」』 - 演劇ユニットG.com

グエナエル・モラン『ラシーヌの「ベレニス」による「ベレニス」』

国際舞台芸術ミーティング in 横浜2011での公演 岡田

横浜芸術劇場、初めて行って来ました。観客席も3階まである大きな劇場。舞台も広いし、奥も深い。でも、今回の公演、ボール紙やコピー紙を使った舞台装飾です。広い舞台も、手前の部分しか使いません。普通の格好の4人の役者。

ラシーヌは、17世紀、ルイ14世の頃のフランスの劇作家、ギシリャ悲劇や聖書に基づいた悲劇を書いた劇作家。『フェードル』が有名かな。

ちなみに、劇作家は分類で言うと詩人になる。シェークスピアにもソネット集と言われる詩集がある。つまり台詞は、歌。そんでもってラシーヌは、そのうちでもアレクサンドラン(12音綴り)の名手とか。ちなみに「アレクサンドラン」は、

「12音節で作られる詩句。正確には、6音節の半句(hemistiche)二つによって構成されなければならない。民謡などにも用いられる8音節や10音節の詩句が軽快な印象を与えるのに対して、アレクサンドランは悲劇などに用いられる格調高い詩句である。17世紀の古典主義記に隆盛を誇り、ラシーヌの詩句におけるアレクサンドランは最も美しく完成された文体として模範とされている。その名称は、この詩句を用いて作られた12世紀の叙事詩『アレクサンドル大王物語』に由来する。」

そうです。でも、以前見た、フランス人の『フェードル』でも、その良さが分かりませんでした。

ちなみに今回の『ベレニス』は

「ローマ皇帝ティチュスは、パレスティナの女王ベレニスを愛している。しかしローマ市民は、異邦人が皇帝の妻になることを受け入れぬため、二人は結婚することができない。
類まれな才能を持つグエナエル・モランは、言葉への情熱と、前代未聞の役者の配置方法によって、この有名な悲劇を見事なまでに大胆に演出する。ボール紙やコピー紙を使った舞台装飾、ラブソング、エネルギーが漲る役者たち。観客はこの芝居に歓喜し、激しく心を奪われる。」

こんな芝居でした。正確に、フランス語が分かる訳ではないので、もしかしたら、厳格なアレクサンドランは崩してあるのかもしれないけれど、台詞の音が綺麗なんですわ。
日本語の字幕が、舞台の上の方に流れるんですけれど、邪魔な位に、もう意味はどうでもいいからただその台詞の流れにひたって居たい、そんな感じもしました。

演出は、古典劇としては大胆になってしまうのかもしれないけれど、芝居性を重視しているので、そんなに気にならない。恐らく、ラシーヌの本をじっくり理解して、その上に作り上げているのだろうと思う。例えば、自殺しようとする時の剣が、ボール紙で作ってあったり、衣装も普段着で、ラブソングを英語で歌ったりというのも、気にはならない。だって、本質で言えばお芝居は「嘘」なんですから。ただ、重要なのは本質を掴んだうえでの効果でなければならない事かなあ。ちなみに、演出は↓な人でした。

グエナエル・モラン
1969年生まれ。演出家。建築を学んだ後、96年から99年までミシェル・ラスキンのアシスタントとして働く。1999年リヨンのLes Ateliersでレジデンスを行い、『Stereo』(サミュエル・ベケットの2部作『Actes sans paroles』『Paroles et musique』)を制作、また『Theatre Normal』を共同制作する。2001年、ヴァランス劇場よりアウグスト・ストリンドベリの『Mademoiselle Julie』の演出を依頼される。2003年、ヴィラ・ジレにてフェデリコ・ガルシア・ロルカの『Voyage a la lune』と『Comedie sans titre』を演出。
サラ・ケインの戯曲をもとにしたパフォーマンスを撮影した映像作品『Aneantis movie/Blasted Film』がリヨンのLes Subsistancesで上映される。