シェークスピア『冬物語』 - 演劇ユニットG.com

シェークスピア『冬物語』

演劇と言う喜びの芝居。なーんてね 、岡田です。

ちなみに『冬物語』こんな、あらすじ。
 
「シチリア王レオンティーズに妻のハーマイオニ、王子のマミリアス。幼馴染のボヘミア王ポリクシニーズがシチリアに滞在中、帰国を引き止める妻の言動から、レオンティーズはふたりの仲を疑い始める。嫉妬心を抑えられないレオンティーズは、部下カミロに暗殺を命じるが、危険を感じたポリクシニーズと共にカミロもボヘミアに逃亡。ハーマイオニはは牢獄に入れられ、臣下アンティゴナスの妻ポーリーナに世話をされながら出産。レオンティーズは生まれたばかりの王女パーディタをポリクシニーズの子と思い込み、他国の荒野へ捨ててくるようアンティゴナスに命ずる。そして、妻を大逆罪で告訴。しかし神託が下り、幼王子マミリアスは急死、ハーマイオニも亡くなり、レオンティーズは自分の過ちに気付き激しく後悔する。

―16年の歳月が流れる。ポリクシニーズの王子フロリゼルは羊飼いの娘(実はパーディタ)と身分違いの恋に落ちて「羊の毛刈り祭」の最中に求愛をする。息子の相手を探る為に変装し祭りに紛れ込んでいたポリクシニーズは「父親には婚約を知らせるつもりはない」と言うフロリゼルのひと言に激怒しその場を去る。途方に暮れる二人は、ポリクシニーズの部下になっているカミロの導きでシチリアへ駆落ちをし・・・。」


千葉の劇団三条会が、スズナリでやってました。久し振りに前売り買って行きました。

『冬物語』シェークスピア後期、浪漫喜劇時代の作品。この後、『テンペスト』で一応最後と言う事なので、最後のひとつ前の作品。

正直に言うといい加減なんですわ。シチリア王リオンティーズは、いきなり妻のハーマイオニとボヘミア王ポリクシニーズの仲を疑い出すし。ほとんど何の理由も無しに、丸で作家の横暴。またその過ちに気付くのも、何と何と、デルフォイの神託が元です。シェークスピアで「神託」と言うのはこれ一つじゃないかなあ。それに、娘パーディタが捨てられる所が、ボヘミアの海岸。ねえあんた、ボヘミア、現在のチェコに海岸はありまへんで、これは当時から常識だったらしい。

まあまあ、そんな事にはお構いなく、だってああた、お芝居ですよ、たかが演劇。みーんな嘘ですよ。初期の喜劇や、史劇、それに真っ暗な四大悲劇。あとは自由に羽ばたいて、まあ台詞が滔々と湧き出すように流れだしたら止まらない、小さな人間の営みの中の微妙な影や暗さを元に猜疑心、裏切り、策略が、一気に裁判で真実が現れ、息子マミリアスの死。そして潔白だった妻ハーマイオニの死まで駆け抜ける。

後半はいきなり16年後、ボヘミアです。時とか言う輩を登場させたりね。まあ、これも遣りたい放題。オオトリカスとか言う、筋にはほとんど関係ない、何で出てくるんだか分からない詐欺師が出てきたり。「毛刈り祭り」は歌と踊り、そして、ご都合主義で再び舞台はシチリアへ。罪を悔いるリオンティーズ、死んだと思っていた娘との再会、疑った幼馴染みポリクシニーズとの邂逅。若きパーディタとフロリゼルの婚約。悲劇が時によって幸福へと変化する瞬間。

でもね、演劇的には見せ場のシーン。すべて語られるんです、その場を目撃したシチリアの侍女によって。それで、もって 一行は、侍女ポーリーヌが所持していると言う、妻ハーマイオニの像の元へ、そして、なんとその像が動き出して、ハーマイオニが生き返る。
おいおい? 粗筋だけ追うと、それあり?って感じですけどね。

後期浪漫喜劇のシェークスピア作品は、みんな復活がどこか主題になっている。『ペリクレス』でも死んだと思っていた妻が、実は生きていて再会。『シンベリン』も死んだと思っていた息子たちが実は生きていた。でも『ペリクレス』『シンベリン』は、まだ、筋として、死んだと思い込んでいたと言う合理性にあった筋なんです。でも、確かに見ていると、「ああ、そうですか。」って感じもする。どうせ芝居なんだから、「もっともっと魔法でも良いんじゃないか、もっともっと奇跡でもいいんじゃないか。」そう言う試行錯誤の末に『冬物語』ができたんじゃないかな。

ラストの前の見せ場を「語り」にしてしまうと言うのも、ラストでの効果を考えると、的を得てるし。また、澱みなく語られるその語りのシーンも充分それで面白い。

もっとも巨大な演劇は『リア王』だと思うし、もっとも洗練された演劇は『テンペスト』。でも、もっとも好きな芝居、演劇の喜びって言えるのは『冬物語』かなあ。前半は意味不明の悲劇、後半が歌あり踊りありの喜劇、魔法のような魔術のような最後。でも、そこには演劇の様々な要素、スピリットが、妖精の飛び交いのように舞っている、そんな不思議が舞台なんだろうなあ。

あらら、こんなに長くなってしまいました。三条会の芝居については、また書きますね。品のある良く出来た舞台でした。