美術館に入ったとたん、スゲー! - 演劇ユニットG.com

美術館に入ったとたん、スゲー!

って思ったのは、牧谿『瀟湘八景図(しょうしょうはっけいず)』だけ。
岡田どす。

またまた、牧谿でーす。
おそらく、表現手法の違いだと思うんですけど、油絵ってのは、やっぱりじーっと見てると、じわじわとやってくる。でも、水墨画って、ふっと目に入った瞬間に、「えっ!」って思います。
作り手側の、絵を描いてる時の精神状態の違いとも思う。だから、アンリ・マチス晩年の「切り絵」もスーって入ってくる。マチスの晩年の絵は好きだなあ。紙を切っただけという「切り絵」。そのスタイルに行き着いた、あの切り詰め型は、美しい。

おっとっと、そっちじゃなくって『瀟湘八景図』四枚。「煙寺晩鐘図」(畠山記念館)、「漁村夕照図」(根津美術館)、「遠浦帰帆図」(文化庁)、「平沙落雁図」(出光美術館)。
数年前に根津美術館で四枚が公開されて。そのとき、遠くにみえて思わず目を疑ったのが、「平沙落雁図(へいさらくがんず)」。
まあ、染みみたいなんですよ、近くで見ると。古い紙の上に黒い染みが何箇所か点点とあるだけ、でも、じょじょに遠ざかって距離を置いて見るとね。
あら不思議。朝もやの中、雁が遠くを飛んでいく。近くには、しばし、休息中の雁もいる。平面の中に、湿潤とした朝の大気が、空を飛ぶ鳥の鳴き声が聞こえてくるようです。

うーん、まあ。芸術ですよ。やっぱり、私たちが作るのは。では芸術って何か?って言ったら「嘘」です。
「嘘」です。だけど、人を騙すためのウソではありません。「世界」を垣間見るための嘘。牧谿の絵とか見るとね、じつは世界って見えているようで見えていないんだと思う。それをチラッとでも垣間見させるのが仕事なんかな。

ギリシャの悲劇詩人も、シェークスピアもチェーホフもそうだしね。セリフと言うのは、実は水墨画に近いように思う。
水墨画の表現は、最低限の、切り詰めて切り詰めて切り詰めて、切り詰めて、もうギリギリと言うところまで切り詰めたことによって生じる無限の世界だし。
芝居のセリフは、多くの無限に存在する言葉、言葉、言葉、言葉の中から、人間の人生を、数十年、百年にも達する長い人の「生」をたった一・二時間に切り取ってしまう作業。

畠山記念館で、『瀟湘八景図』四枚の内の一つ国宝「煙寺晩鐘図」が公開されます。まあ、国宝「煙寺晩鐘図(えんじばんしょうず)」はもうちょっと優しい絵です。
興味のある方は↓まで。展示期間が短いのでご注意。

http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/display/2009/autumn.html