スラムドッグミリオネア
なかなかごっついエンタテインメントでした。 そう、インドというものを エンタテインメントにしたことがこの映画の一番の肝。
インドは欧米や日本の人にとっては「異文化」、しかし 気になる異文化だった。しかし、この映画の視点は、インドをあくまでもエンタテインメントの背景にしたこと。もちろん、インドでロケをし、インド人を使い、 色々インドの社会問題を取り上げ、観客(欧米や日本の人)にとってインド以外の何にも見えないようにしてある。事実インドに違いはないだろうが、でもそれはあくまでストーリーを盛り上げるための背景だ。別に異文化を理解しようという気持ちはない。もちろん、エンタテインメントにそんな必要もない。
ストーリーは、若い純粋な男女があらゆる障害を乗り越えて結ばれるまでを描いた純粋なラブストーリー。何せ、ラストシーンがファーストキスなのだから、いまどき欧米映画では描けないほどのピュアなロマンス。そこに、「クイズミリオネア」での全問正解を絡めている。問題の一つ一つがスラム出身の主人公の人生の場面に絡んできて、「どうして問題をクリアできたのか」が、人生の回想につながっていく。これは原作者(インドの外交官で、今度大阪総領事に赴任する人)の手柄だろうが、非常にうまい仕組み。
ラブストーリーも「クイズミリオネア」も、文化の壁を超えるもの。これを軸にして、後は異文化からエグくて受け入れにくいところを取り除き、話を盛り上げるスパイスにした。貧困や犯罪などの社会問題は若い二人が乗り越えるべき障害として描いた。
経済成長が続き、世界中の関心が高まっているインド。「ちょっとインドのことを知りたい」という世間の要望に巧みに答え、魅力的な回答を用意した形。行き届いたサービス精神に、見終わった後の満足感は大きい。監督以下関係者の頭の良さがしみじみと感じられる。そう、エンタテインメントとは結局、頭の良さを競うジャンルだと思う。

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