2009年5月アーカイブ: 演劇ユニットG.com

フェルメール

「こんな風に書かなけくちゃいけなかったんだ。」と彼はつぶやいた。「おれの最近の作品は、みんなかさかさしすぎている。この小さな黄色い壁のように絵の具を幾つも積み上げて、文章(フレーズ)そのものを価値あるものにしなければいけなかったんだ。」 マルセル・プルースト『失われた時を求めて 第五編 囚われの女』鈴木道彦訳

 

一応、作家の岡田です。そんでもって、上野の西洋美術館でフェルメールの「レースを編む女」を見てきました。

 

小さい絵です。代表作でもありません。更には、「美徳」を書いた絵です。

 

フェルメールの絵。「真珠」は虚栄。「ワイン」と「音楽」は媚薬。「手紙」は、秘められた憧れ。相手は、不倫。黄色は、「愛し合っているものと、娼婦に似合う色」。ほとんどの絵は「悪徳」で描かれています。うーん人間だよね。 

それが完璧な遠近法の室内。窓から差し込むやさしい光。真珠の光の粒に映る室内。絹のドレスからは、衣擦れの音が聞えてくるようです。

 

ゆえに、「悪徳」が放つ悪臭は昇華され。不思議な落ち着きと、完成された世界。そう「世界」なんだよね。フェルメールって。

 

ただ「レースを編む女」は、「有能な女性の鑑」。つまり、フェルメールの絵では例外、つまんない方です。美徳のほうは、これと「牛乳を注ぐ女」位かな。とは言え、二人とも、娼婦の色、黄色い服を着てるけどもね。

 

でも、やっぱり「世界」を感じます。レンブラントの中期の自画像や、画家の中の画家ベラスケスの「王女マルガリータ」も確かに凄いけど。やっぱりフェルメールかな。

 

ちなみに、冒頭の引用、フェルメールのデルフトの風景」をパリで見たプルーストが、作中の作家ベルゴットに言わせる言葉です。通常「ベルゴットの死」とよばれる章で、プルーストが死の直前まで書き直していたと言われる箇所です。

 

でも、なんとなく分かります。ああ、また書き直そうと、僕の戯曲。

40過ぎて

文芸部の友田といいます。せっかく場があるのだから、何か書いてみようと思う。

 

そのうちに主宰も記事を書くことと思うけれど、昨日次回公演「金の卵1970」の

脚本の研鑽用のリーディングがあった。キャスト予定の俳優の方々が参加。

色々と厳しい意見もいただき、作家の三浦実夫さん(主宰のお父上)を補佐する

我々文芸部としても、反省すべき点を多く感じた。

 

リーディング会の詳細は主宰の記事を待つとして、最近個人的にうれしかったことに

ついて書いてみたい。というのは、この数年で一番と言っていいぐらい、

本当に嬉しいことだったから。

 

若い頃、私は某社(報道関係)に在籍していたのだが、

最近そこからお仕事の依頼をもらったのです。月に一回、記事を書く仕事。

 

コネとかそういうんじゃない。もちろん古巣だから知人は多いけど、だからと言って

仕事をもらえるような甘い会社じゃない。その会社を離れて10年以上になる。

その間、アメリカに留学して経済学を勉強したり、小さな会社に勤めたり、

面白いと言えば面白かったが、迷いの多い30代だった。37歳のときに

評論の賞をもらって、時々依頼をもらっては書評とかを雑誌に書くように

なったけど、別にそれで暮らせるわけじゃない。

 

芽が出るとか出ないとか、何をもって言うのか知らないけれど、長期戦の覚悟が

出来た。仮に芽が出ないまま事故か何かで死んでも恨まない。お化けになって

出たりしない。結果ではなく、一つ一つの仕事を大事にする。まあ、そんなにきれい

にはいかないけど、気持ちだけは、せめて。

 

そんな矢先に仕事の依頼の電話をもらった。以前ある場所であって、名刺交換していた

人。私がその会社にいたころは知り合いではなかった人。そんな人が、私の仕事ぶりを

見ていてくれた。あるコーナーに欠員が出来たとき、私を使おうと思ってくれた。

それが何より嬉しい。

 

20代のころ、その会社の旗の下で働いた。何も分からず、周囲も見えず、必死だった。

不器用な自分に疲れ切って、新天地目指し、会社を去った。それから10年以上も経って、

今度は個人として仕事が出来る。昔いっしょにがんばった仲間たちと同じ紙面で、肩を並べて。

 

こんなことが起きるなら、年を取るのも悪くない。

 

 

 

 

文芸部のお仕事は......、

初ブログ、G.com文芸部の岡田です。

私のお仕事は、「意地悪」です。

 

だからと言って、私が「意地悪」じゃあないですよ。

演劇には意地悪がイーッパイいます。

ムーア人アーロン、悪戯妖精パックに、三人の魔女、悪役イヤーゴ。父親を苛め抜くゴネリル、リーガン姉妹に、親を裏切るエドモンド。テンペストのプロスペローだって、よーく読むと相当意地悪ジジイだし。シェークスピアには意地悪が一杯。

やさしそうなチェーホフでさえ家をのっとる、浮気女のナターシャ(三人姉妹)がいます。

それにギリシャ悲劇は、「神さま」と言う名の意地悪ばっかり。(なぜか太陽神アポロンが多い。)

 

多分、演劇って意地悪なんだろうな。ずっと芝居を見続けた「悟り」だったりして。

でも、「悪」がないと、「善」も「美」も「真」も、光り輝かないんだよねえ。と心を鬼にして日々「意地悪」に精進しております。

今は、「金の卵1970」に頑張って意地悪してますんで、どうぞご期待の程を。

 

(ちなみに主宰の三浦がブログで、「三人姉妹」のマーシャを長女と書いていましたが、次女です。長女はオリガ。うーん、また意地悪してしまいました。ふふふ。)

 

 

 

文芸部日誌開始予告

このたび、G.com文芸部による、日誌が、開始、される予定です。

 

しばしお待ちを。

ユリイカ

既に、ブログ三日坊主的な更新ペースになってきてしまいました。

嗚呼、自己嫌悪・・・終了。

 

今日、会社の近く(半蔵門)の書店に取り寄せを頼んでおいた本が届きました。

お目当ての本は「ユリイカ」

 

皆様、ご存知でしょうか?「ユリイカ」という雑誌。

そうです、たまに書店でみかけるあの「ユリイカ 詩と批評」と書いてあるなんとも素敵な文芸雑誌です。僕自身は、詩にも、批評にも、あまり関心はないのですが・・・2009年3月号の特集が、尊敬してやまない漫画家、諸星大二郎の特集だったのです。

 

数日前に書店でみかけていたのですが、その時は手持ちのマネーがなく購入を断念。パラパラとページをめくったところかなりの紙面を割いているご様子・・・というか、ほぼ全頁、諸星。「こいつぁ買いだぜ」と思い、翌週に書店にいったところ売り切れ→お取り寄せという流れ。

 

気になる本をみつけたら、無理してでもその場で買う。

なかなか身につかないこの習慣。いつも自分が恨めしくなりますよね。

 

そしてやっと今日到着。

ランチ後、喫茶店に駆け込んで、まずは巻頭のインタビューを一気読み。

 

ああ、面白い。

 

誰かが「本物の天才ほど腰がひくい」と言っていましたが、本当にそういうものですね。

まったく飾り気のない・・・というか、普通のおっさん。だ。

巻末のあとがきや、他の紙面でのインタビューなどでいつもそうなのですが、しごくフツーの人なんです、 諸星氏。そんなフツーの感覚のフツーの社交性もちゃんとあるフツーのおじさんが、あんなヤベー漫画を描いちゃうんですね。

 

尚、このユリイカには、諸星氏の幻の初期短編『硬貨を入れてからボタンを押してください』が全項掲載されています。ガリ版刷りで。諸星好きにとっては感涙もの。えらいぞユリイカ。

 

読破後、感想などカキコミマス。

 

 

 

ユリイカ.jpg

 

 

 

 

モロホシ先生・・・25年ぶりに連載を再開した『西遊妖猿伝』、ゆっくりでいいから無理せずコツコツ描いてくださいね。もう、再開しただけで、スゲーことなんすから・・・。

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