親の顔がみたい - 演劇ユニットG.com

親の顔がみたい

劇団昴の佐々木誠二さんの招待で、

「親の顔がみたい」シアターサンモールでき観させて頂きました。
(佐々木さんありがとう!)

劇作、畑澤聖悟(渡辺源四郎商店・店主)
演出、黒岩亮(劇団青年座)

物語:都内カトリック系私立女子中学校会議室。そこに集まる保護者達。 
彼らは、いじめを受けて自殺した生徒の遺書に名指しされた、加害者の親たちである。
れぞれ、年齢も、生活環境も、職業も違う親達は、真実の究明をよそに我が子を庇護することに終始する。怒号飛び交う会議室。子供達のいじめを通して、それぞれの親達の「顔」が浮き彫りになる。森を拠点に活動を続ける、気鋭・畑澤聖悟。現役高校教師が描く渾身の意欲作、待望の再演!

面白かった。
戯曲が良かった。さすが現役高校教師。さすが鶴屋南北賞候補作家。

「12人の怒れる男」テイストの作風。みていると、なにが正義で、なにが悪なのかわからなくなってくる加害者の親達。それぞれの親のたちの正体が徐々に明らかになっていく過程はやはりスリリング。それを過剰にみせない演出も相まって、劇場内はしんとした空気がはりつめる。

けれども、想像以上にポップなつくりで、笑いがふんだんだった。その分、自殺、いじめ、学校問題、親の葛藤などのダークサイドがかなり薄められているのかな。僕の好みから言えば、もう少しダークサイドを掘り下げてもよかったのかなと思いました。

親達のなかで、唯一、祖父母として出てくる西本裕行さん、北村昌子さん演じる老夫婦がよかった。お二人が喋りはじめるだけで、泣きっぱなしだった・・・。

(2009/6/21追記 北村昌子さんは急病により降板されていて、僕がみた公演では小沢寿美恵さんが演じられていたそうです。)

孫が犯した罪を真っ向から受け止めているのは、このご両人だけ。
それが余計に、老夫婦の苦悩をみせてくれる。

ラストシーンは、予想のつくものではあったものの、ストンと落ちる良いラスト。

しかし、幕切れの台詞が我々G.com文芸部にとってのNGワード「生きていかなくっちゃ...」だったのが、もったいなかった。

序盤から「子供達のためにも、信じてやりましょう。いじめはなかった!」と叫んでいた父親が(実は全部真相を知ってて隠しとうそうとしていた)、結局は全て自分の世間体のために尽力していたという真実が暴かれる。三々五々と教室に隔離されている我が子達のもとに去っていく親達。たしかに登場人物の彼らにとってはここからがスタート。「それでも、生きていかなくっちゃ...」「そうだな、生きていかなくっちゃなぁ...」で終わるわけです。いいラストです。

しかし、

チェホフの「三人姉妹」の名台詞、長女マーシャの「生きて行かなければ......生きていかなければねえ...」は、本当に魔法の言葉。かく言う僕や、周りの作家陣もラストにちょいちょい使ってしまう結論。この台詞で幕切れしてしまうと、やはり「三人姉妹」が想起されてしまう。チェホフへのオマージュになってしまう。

でも、いい台詞だから使いたくなっちゃうんだよなぁ・・・ほんと。


しかし、総じて、良作でした。

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